コラム 債務整理 本格学習その4 「方針決定」

前回以前の分はこちら:

債務整理 本格学習その1  受任通知


債務整理 本格学習その2  債務調査

債務整理 本格学習その3  利息引きなおしのイメージ



債務整理 本格学習その4 ~ 方針決定(一般論)



前回のコラムから随分たってしまいましたが、方針決定です。
まずは一般論。手続き的なお話から。

1.過払金回収とそれ以外のお話


その前に私の基本的考えを言えば、過払金回収とそれ以外(任意整理・破産・個人再生)をまず分けて考えるべきです。過払金回収はするかしないか「選択」するものではなく、どの場合でも当然やるべき事、必ず取るべきものであるからです。

その結果破産なら過払金を申立費用・弁護士費用や生活費に回す、任意整理なら残りの業者の支払いに回す、再生(個人再生)でもいろいろ使えることになりま す。それでも余れば久しぶりのささやかなぜいたくに使ってもらうということになります。

過払金回収は選択対象から外れて、選択するべきなのは残りの3つ(任意整理・破産・個人再生)です



2.各手続のおさらい

では残りの3つ(任意整理・破産・個人再生)からどう選ぶか?

その前に各手続の特徴をおさらいしましょう



※ 弁護士費用は諸パターンで変わります。たとえば、破産なら総額や業者数によって変わりますし、任意整理だと業者数やいくら減ったかによって大幅に変動しま す。 ただ一つ、個人再生は、弁護士の作業が多く、又それだけの資産がある方対象なので、比較的高額である事に違いはありません。

※どの手段でも十分な過払い金が入れば弁護士費用・実費はそこから充当できますので心配いりません。

※個人再生の返済に払う額をシンプルに考えると、とりあえず
1.全体の5分の1にする。(1000万円→200万円)
2.1の時、100万円以下又は500万円以上にはならない。つまり、100万円~500万円が支払総額です。
例1)400万円→5分の1の80万円ではなく、100万円
例2)2700万円→5分の1の540万円ではなく、500万円
3.清算価値より下にもならないです。

Q清算価値原則を少し説明してください。
A分かりました。
例えば、住宅の価値が3000万円、住宅ローンが2800万円ある人、この人の持っている財産価値は差額の正味200万円です。この場合、1・2の基準 (5分の1但し100万円~500万円)と、この額(200万円)を比べ、多い方が再生期間中に支払う額になります。


Qで、何が問題なの?
A上のように、例えば住宅の価値が3000万円で住宅ローンが2000万円の人の場合、この人の持っている正味の価値が1000万円ですよね。
すると、せっかく1・2の基準(5分の1但し100万円~500万円)でもっと少なくなるはずの借金が、これと1000万円との比べっこで支払い総額が1000万円になっちゃうのです。
すると、3年(普通の再生期間)で1000万円返すのは出来ませんから、再生できないのです。


Qではどういう人が再生に向くの?
A住宅ローンが住宅価値をオーバーしている時か、少なくても同じ位である事が必要です。



3.本当は破産が一番


では、3つの手続が大体分かったとして、どうすべきか


①私は破産がベストと断言します(「ベスト」というのは私からみた考えなので、皆さんに「強制」する訳ではありません。主人公は皆さんですから。念の為。)反対する人は今までのコラムをじっくりと読んで下さい。読んでもらえば、よくその真意を理解してもらえると思います。


②それに対し、引き直しで大幅に減っちゃう人(全体が過払いになったり、ゼロ近くなったり)、どうしても払いたい人(お友達や親戚に借金があり、破産できない人)、収入にかなり余裕があり払えてしまう人は任意整理もありでしょう。


③では、個人再生は何か、どういう時か、というと、任意整理では返済額が高すぎる人か住宅がある人向きです。借金が原則としては5分の1になりますから、 任意整理では高くて返せなくても、個人再生なら可能になることがありますし、住宅がある人は住宅ローン条項(家は守るぞというシステム)を使う事により再 生で家を守れるからです。


以上が一般的な手続きの話です。
次は具体的な方針の話を解説していきます。