コラム債務整理・番外編2: 「一連性」

過払いのお話と過払い最前線、その後の動き(その2)

「一連である」といいやすいケース、「一連である」といいにくいケース



今回は前回の続きの一連性の話です。

前回お話しした様に、この話は非常に難しいです。
ムカーシやった数学を思い出してください。そういう理論的な面があるのです。

ですので今回は、そういうややこしい話は抜きにして、ポイントごとに、

「こうなれば一連といいやすい(過払いがたくさん戻ってくる)」

「これだと一連といいにくい(過払いがぐんと減ったり、下手をすれば残金が残ってしまう)」

というのを挙げていきます。

皆さんも、ああ自分は過払いが出にくいなあ、とか、これならたくさん過払いになるのではないか、的に気楽に参考にしてください。



1. 契約店舗による違い


過払いが多くなるかも:
仮に中断期間があっても、同一店舗で再び借りていた方が、一連といいやすくなります。

過払いが減ってしまうかも:
中断期間があって、店舗が違うと、別の契約だといわれやすくなります。



2. 会員番号による違い


過払いが多くなるかも:

会員番号が同じだと一連といいやすくなります。

過払いが減ってしまうかも:
中断期間前後の取引が、会員番号が違うと別の契約だといわれやすくなります。



3. 中断前(つまり以前の取引の終了時)の最後の挨拶


過払いが多くなるかも:

中断前の取引が終了する時、「又、借りてください」という話があれば、中断後の取引と、一続きだといいやすくなります。

過払いが減ってしまうかも:
逆に、中断前の終了時、そのようなやりとりがないと、一連の取引といいにくくなります。



4. 新規貸付の際に業者に取られた資料


過払いが多くなるかも:

中断後の再びの借り入れの際、免許証や保険証のコピーをとられなければ、以前の取引が継続しているだけだから新たには審査をしなかったんだ、といいやすくなります。

過払いが減ってしまうかも:
中断後の取引で、最初の借り入れの時と同じように色々な身分確認を取られていると、全く新たな取り引きといわれやすくなります。



5. 契約書の返還


過払いが多くなるかも:

中断前の取引の終了時に、契約書が返還されないと、前の契約が続いているといいやすくなります。

過払いが減ってしまうかも:
中断前の取引で、契約書が返還されていて、中断後新たに契約書を作り直すと、 真新しい取引だといわれやすくなります。



6. カードの返還

過払いが多くなるかも:
中断前の取引で、終了時カードを返還せずにいれば、一連といいやすくなります。 先方から、戻さないでいいですよ、又の時に使ってくださいなんていわれていれば、ベストです。

過払いが減ってしまうかも:
中断前の取引終了時にカードを返却して、中断後新しく作り直したりすると、
一連といいにくくなります。



7. 端数清算

過払いが多くなるかも:
中断前の取引時に、たまに数百円程度の、過不足の誤差が生じることがあります。 その清算は、中断前の取引が終わる時清算するのが普通です。
それをせずに、中断後再開時に、「前回の清算をしますね」ということになれば、やはり一連なんだ、ということになります。

過払いが減ってしまうかも:
それに対して、中断前に清算を済ましてしていれば、別に不利にはなりませんが、少なくとも有利な事情にはならないでしょう。


8. 借り換え

過払いが多くなるかも:
時にはそもそも中断、とさえいえない場合があります。当然「一連」ですね。
例えば、借り換えといわれる場合で、最初の取り引きが終わる日に、次の貸付が始まる場合があります。これは、そもそも中断ともいえないですね。



9. 利率・限度枠

過払いが多くなるかも:
中断前の取引と中断後の取引内容を比べてください。利率や限度枠が同じなら、一連といいやすくなります。

過払いが減ってしまうかも:
やはり中断前後が、別利率、別限度枠ですと一連といいにくくなります。
もっとも、出資法という法律が、何年かおきに、グレーゾーンの上限を変化させているので、それにあわせ、利率が変化しているだけの場合は問題ないなどの例外もあります。


10. 勧誘の有無

過払いが多くなるかも:
最初の取引が終了した後、2回目の取引の前に、電話やDMで勧誘があれば、過払いが多くなります。 「業者は、取引の再開を予定していたのだから一連だ」といえるのです。

過払いが減ってしまうかも:
逆に、そのような勧誘がないと、再開予定ではなく、単に1回目の取引が終了したことになり、一連性が弱くなります。
この亜流として、1回目の取引終了時、例えば、親族が立替えてあげて、その代わり業者に2度と貸さないでくれ、と親族が頼み、貸し出し停止としたケースが 挙げられます。そうすると、まさに再開可能性がなかったことになり、だいぶ不利になります。



11. 台帳

過払いが多くなるかも:
業者に、過払いの裁判を提起後「この人の台帳を出して」というと、皆さんの借り入れや、交渉具合が記載した、皆さんの人名ごとの管理簿である台帳が出てくることがあります。
そのとき、1回目の取引と2回目が、一緒に管理されていると、一連といいやすくなります。

過払いが減ってしまうかも:
逆に台帳を出させて結果、1回目と2回目が別管理だと一連とは言いにくくなるでしょう。


12. 年数

過払いが多くなるかも:

やはり中断年数が長いより、短い方が一連といいやすくなります。

過払いが減ってしまうかも:
逆に中断年数が長いと、別取引といわれやすくなります。
じゃあ、具体的に何年の中断だと、まずいのか、といわれれば、それは裁判官次第ですね。厳しい人なら1年以上空いていればまずくて、平均的には3年以内が目処という気がします。


13. 計算書の形式

過払いが多くなるかも:

受任して、業者の計算書がでてきた時、全て一連で計算書が出てきたときは、業者も一連性を意識していることになります。「11.台帳」のところで説明したのと同じことですね。

過払いが減ってしまうかも:
逆に計算書を別個に出されると、業者は一連のつもりでないという意思が読み取れます。(最近はそれを逆手にとって、業者は、どう見ても一連のときにすら、やたらに別個の計算書を出してきます。その意味では、業者の対応次第でどうとでもやれますから、この「13」は余り大事ではないかもしれません)


14. 物販つきか否か

過払いが多くなるかも:

例えば、1回目の取引と2回目が別個のカードの場合、両方キャッシング用カードならそれが望ましいです。両取引が類似している分一連といいやすいからです。

過払いが減ってしまうかも:
逆に、1回目がキャッシングのみ、2回目が物販兼用カードとかだと、両取引が似てないから別取引ね、という話もありえる事になります。




さあ、ずらずらと書いてきましたが、皆さんの取引は、中断がありますか?
無ければ、この話関係ないので、後は、長年借りていれば過払いなのですが・・。

中断ある方、どうですか。いくつくらい有利な要素があり、いくつくらい不利な要素があるか、思い出してください。

え?思い出せない?そもそも中断があるか忘れた?

そうなんですよね。実際には、何社も借りている以上、ごっちゃの記憶に誰でもなりますから、結局は、「やってみる」しかないんですね。

まあ、そんな事で、皆さんが、債務整理を始めるにあたり、その時点で気にする話ではないかもしれませんが、余りにもホットな話なのでして見た次第です。
それではまた。